槙の葉作品集
〜月刊こころ俳句5月号より抜粋〜
6月句会作品
| 作者 |
| 雑詠 ・・・・・・・・ 兼題「湿度・雨」 |
| 香季 | 時空 |
| じゃあとだけまたねを飲み込む梅雨の蝶 五月雨に濡れた髪からタバコが匂う 切れぬまま編みこんだ髪重くなる 寂しさに疲れて深夜のラジオ 新月や肌に赤い花が咲く こぼした言葉が跳ね返る初夏の日差し |
薄縁に肌染め蕾模様の百日紅 十薬の花の白さに摘み惑い 花の言葉を幹に聞き心行者の桜守り 置き忘れた羞じらい座席のマスカラ 夏めいてジャスミンアイリス花冷えを忘れ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 水無月に紫陽花燃える水たまり 忘れること流れ行くのも安堵かな 子を思う命燃やして花石榴 |
| 放石 | 真理 |
老いの骨鳥の巣に眠る軽さよ 繊月の家路骨響く 五月晴れ厠で童指太鼓 君が代に風鈴が飛び込む 乗り継ぎのベンチ冷めた現実 酔えば歌うカンツォーネ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 頭の天辺軽くなる雨音 五月雨の愛冷えて固まる 音もなく忍び寄る雨傘 |
竹箒言葉の塵を掃き集め 見逃した影法師足を洗う 無口になりますどくだみの白い花弁 風の万華鏡ハングル文字を織り込んで 地球平和にシュート民族の熱い呼吸 朝焼け風が拾う父子の会話 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 夫婦の領域かたつむり首をすくめる じわりと蒸してきたまっさらな画布 梅雨冷蛍袋に鍵を預け |
| 輝樹 | 紫苑 |
夕鶴の羽ばたき一瞬のモノクローム 冷奴相手の顔がよく見える どくだみに女の眉の細すぎる 力いっぱいの触感レモンを絞ろう 約束を反古にしたとき流れ星 壷ひとつ置かれ怯える鬼がいた ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 黄昏の雨遮断機の非情 湿度よりくるくる愛のかざぐるま 湿度ほどよく絵具塗りかえる |
ミルクティ底の曖昧を飲み干す 父の末期が解ける父の日あたり 病葉を摘むパン種にある期待 人に従順つるバラの棘とげ バラの雨をもてあましている両手 緋色のバラ聖書を抱きしめる ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 落花すくう手の平に雨しきり 湿度が解ける次々に咲く桔梗 葛藤の雨に微笑む額紫陽花 |