no.2

 君のデビュー戦や未勝利を勝った時のレースは実は見てないんだ。
でも結果を見て、きっと将来うんと頑張ってくれるだろうと信じてたよ。
初夢賞の時はね、府中の「日本庭園」のモニタでレースを見てたの。
ジェガーはぜんぜん人気が無かったけど、思い描いていたレースで勝ったよね。
それからは、勝ちあぐねた時期もあったけど、順調だったね。
でも、1000万を勝ち上がってすぐ、オープン・ハンデ戦の
アルゼンチン共和国杯に出走するとは思ってなかった。
そこまで堅実にレースを選んで出走してる印象だったから、無理なことはまだしないだろうな〜って。
出走できるかどうかも微妙だったのに、君はぎりぎり出走できた。
しかも岡部さんが乗ってくれた。
振り返ると、最初からついてたことがわかるよね。
関東に住んでる私は、関西馬の君にはなかなか会えなくて、あの時が“初対面”だったんだよ。
パドックで見る君は、他のオープン馬にもひけをとらない、立派な馬体で、堂々としてた。
返し馬の時、私は本馬場の前のほうで君を見ていた。
君は岡部騎手を背に、外ラチいっぱいをぶん…っと走り抜けて行った。
その時、君が起こした風を浴びながら、その雄大な馬体を見て
「この仔はすごい馬だ…!」と思った。
いろんなお馬を何頭も見たけど
あの時の君ほど、立派で、しなやかで、力強く、
圧倒されるような迫力を感じさせてくれる馬はいなかった。
今となっては、最初で最後、唯一の重賞勝ちが、
私にとって、君との初対面で、運が良かったな…と思う。

 

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