電力合成の調整方法

使用するリニアアンプのそれぞれの出力電力は同程度である事が好ましい。
出力電力が大きく異なるアンプを使用しての電力合成を行う意味は無い。500W+100W=600Wでは意味が無い!
はやる気持ちを抑え、念のため以下の内容(A,B)を確認する。

A) 分配器と合成器を合わせた特性に問題ない(位相にずれがない)ことを確認
負荷に50Ωダミーを接続し、2つのリニアアンプをスルーにし、エキサイターの送信電力を最大(100W or 200W)にする。

@エキサーターから見たVSWRを測定する。1:1.1以下である(ダミーのみのSWRに近い)事を確認する。
    (エキサイターのアンテナチューナは勿論OFF!)
Aエキサイターの出力電力と合成器の合成出力がほとんど同じである事を確認する。
    (電力計は同じ物を接続を変えて計る)
リニアがスルーでも、位相がずれると、VSWRが大きくなり、損失となる(合成出力が減る)。
@、Aに問題が無ければ分配器と合成器に問題は無い。
この試験で問題が無く、アンプを使用しての電力合成に問題がある場合は、アンプの位相特性が異なっている可能性がある。
同じモデルを使う場合は問題ないと思われるが、たまに、仕様変更で入力のLPFや同調回路が製造年月日により異なる場合があるので要注意。
異なる場合は同じ回路、定数に合わせるのがベスト。
2台のアンプの入力インピーダンスが同程度である事も確認しておく事が好ましい。大き異なる場合は調整し、同程度になるようにする。

B) 2台のアンプから期待通りの電力が出る事を確認
分配器のみ使用し、2台のアンプにそれぞれ適切な負荷を接続し、適切なエキサイターの電力で、それぞれのアンプから期待されるパワーが出る事を確認する。
片方、もしくは両方のアンプとも期待される電力が得られない場合は、アンプの入力インピーダンスに差があるか、アンプの利得に差がある事が考えられる。

以上に問題が無ければ以下の手順で調整
エキサイターの送信電力を10W程度にし、2台のリニアのPLATEとLOADINGを合成出力最大となる様、交互に数回調整する。
ここで、それぞれのアンプのプレート電流のディップ点と合成電力の最大値が一致するのが理想。
プレート電流のディップ点と合成電力の最大値が大きくずれる場合は、位相がずれている可能性がある。その場合は要調査(A)!
プレート電流のディップ点と合成電力の最大値が大きくずれていなければ、エキサイターの送信電力を20W程度にして、
前述と同様に調整し、徐々にエキサイターの送信電力を上げ、目標の出力電力(1KW)になるまで同様の調整を繰り返す。
目標の出力電力で、それぞれのアンプのプレート電流のディップ点と合成電力の最大値が大きくずれていない事を確認する。

考察1位相差とロス
この電力合成はロスを少なくする為2台のアンプの出力の位相と振幅を同じにするのが理想。(電力を同じにする必要は無い)
電力が異なるアンプの場合、パワーが少ない方は、出力インピーダンスが高くなり、結果的に電圧が高くなり両アンプの電圧差が無くなる。
合成電力を最大にする様に2台のアンプを交互に調整することでアンプの出力の位相と振幅が同じになる様で
位相差と振幅差を気にすることなく調整でき、面倒な位相や電圧を測定する必要は無かった。
振幅が同じ場合、位相差が合成電力に与える影響を計算してみたが、20度違うと1.52%のロス、10度違うと0.38%のロスとなる。
1KWに対して、それぞれ15.2W、3.8Wとなる。2台のアンプの位相差だけなら20度程度までは十分許される計算。(計算結果参照)

考察2(ロスと歪)
ロスとなる電力はアンテナ(ダミー)に行かず、もう一方のアンプの出力側に行く。この電力が4%程度の場合、VSWRは1:1.5と同等。
歪はアンプを1台使用してVSWRが1:1.5のアンテナを使用した場合と同じ。
この出力をパッシブな素子(コアの非直線性は無視出来るとして)で電力合成する。
歪も希望波同様、電力合成されるが、電力合成器に歪を増幅する要素は無い。

その他

●2台のリニアの送受切り替えタイミングは同じである事が必要。
 1台が送信状態になった瞬間、もう一台が未だ受信(スルー)状態にあると
 送信状態になったリニアの出力と入力がつながるので一瞬発振を起こす危険性がある!
 その様な場合はリニアのリレーのタイミングを合わせるか、バイアスの制御(遅らせる)でも解決出来る。
  (同じリニアを使う場合はまず問題ない)
●合成器の入力は100Ω程度となるので、50Ωの同軸は使わず75Ωの同軸を使用した。
 (短ければ50Ωの同軸でも問題ないと思われるが、選べるなら100Ωに近い75Ω同軸が安全サイドかな?と言う程度)
 全てのトラブル、問題点を想定・再現出来ないので、問題があれば、それぞれの環境で、各自、解決ください。

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